きょうは、訪問の予定が何もない平日。
土日を除くと、月に2日しかない、貴重なフリーの平日です。
午前中、父は、町内で行われる体操教室に参加しました。
そして、午後には、短い期間しか咲かないヒガンバナを見に行こうということに。
空は、朝は晴れていたけれど、だんだん雲が多くなり、
早く出ようと、あわてて準備。
13時半前には、車いすを車に積み込み、母と父と私と車に乗り込みました。
目的地は、父母が毎年ヒガンバナを見に行っている、母のふるさと。
山のふもとの集落あり、たんぼありといった場所で、
そのたんぼのあぜにヒガンバナが密集して咲いていました。
近くに車を止めようと思ったけれど、
たんぼに近づくと周りには、細い金属の網が張り巡らされていました。
イノシシ除けらしいです。
網越しに見るのは興ざめだなあと思い、
網が張っていないところを探そうと、車でうろうろしましたが、
父母の定番の鑑賞エリアは、全部網が張ってあり。
網の張っていない新しいエリアを開拓しようと、
未知のエリアに足を踏み入れました。
そこは、ここで育った母もなかなか行ったことのない場所。
山を登っていき、見慣れない道に入り、だんだん家もなくなり
山林だけになりました。
うっそうとした植林の杉と、自生する竹と広葉樹の自然林の山道。
車一台分の道幅で、対向車が来たら、離合スペースがあるところまで、バック
しないといけない狭さで、こわごわ進みます。
もう上り詰めて、ほとんど山の稜線近くに来ているのだろうけど、
あいかわらずイノシシ除けの網が張ってあります。
かんじんのヒガンバナは、ちょぼちょぼしか咲いていません。
だんだん心ぼそくなり、父は「戻ろうか」と言い、
母は「戻らん」と言います。
この会話に、対照的な二人の性格が集約されています。
怖がりな父と、豪胆な母。
80を過ぎ、短期記憶が怪しくなっていても、
人間の本質は変わらないんですな。
なんだか、うれしくなりました。
母の言葉に応じて、進み続けること数分、
林道から急に視界が開け、目の前に集落が現れました。
急斜面に張り付くようにして建っているわずか2、3軒の家々だったけど、
とりあえず、そこから下りの道が続き、開けた場所につながっている感じでした。
わくわくどきどきのドライブは、ここで終了。
家をでて帰り着くまでは、1時間半ほどのドライブでした。
一度も、車を降りることなく、
母は、最後には「おしりが痛い」と言いました。