母は、四方を山に囲まれた集落の、農家に生まれ育ちました。
神社があり、お祭りがあり、農業にまつわる季節行事がたくさんあるところ。
そういう環境で母は、多少の閉塞感を感じつつ、成長していきました。
しかしなんとも皮肉ですが、最初に就職した地は、
育った地よりさらに田舎の小さな村。
希望の職に就き親元を離れ、20代初めの夢いっぱいの時間を
大自然の中で充実して過ごしたようです。
やがて結婚して、町に住むようになりました。
お店はたくさんあり、交通機関も発達している便利な場所です。
子どものころ、憧れていた町での暮らし。
でも、そこで暮らしていくうち、自然とのつながりを失くしてしまった・・
体に染み込んでいた、自然と寄り添う暮らし方。
自然と遠く離れた都会では、花と向き合うときが、ほっとしたのかなぁと。
私の幼い頃からずっと、季節の花が、庭に、家の中に、いつもありました。
そういった体験は、今度は私の体にも染み込んでいます。
ベランダに鉢が多すぎて、家族からクレームですが(苦笑)
きょう母に持っていった花は、そのベランダに咲いていたボリジ。
母の部屋に来るスタッフの方はみな、初めてみる種類だったようで。
さすがの母も、「この花何?」と聞きます。
「ハーブの種類で、ボジリっていう名だよ」
確かに。山にはなかった種類だよな。