母は、働く主婦で忙しくしていた割には、
毎年年末、お正月の行事料理を、楽しんで作っていました。
博多に嫁に来たときから、
ちゃんとした、伝統的な博多雑煮を作りたいという思いがあったようで、
料理教室に行ったり、博多雑煮を出す店に行って研究して、
自分のお正月料理ノートを作っていました。
父や祖父母も、黒豆を煮たり、おとそを用意するなど、
私達子ども以外は、みんな手伝って、
お正月は華やいだ料理が主役の、しっかりしたイベントでした。
そんな風に、思い入れのあるお正月料理。
台所仕事が思うようにできなくなってからは、父ができることをやって、
お雑煮と、お節を作ってきました。
昨年、黒豆の汁ぐらいしか、味わえなかった母が、
今年は、汁物のほか、きんとんや、柔かいものなど、
食べられるようになっていると思います。
試しに、父が母に「何が食べたい?」と聞くと、
一番に「数の子」と答えました。
そうか。
数の子か・・・。
これは、つけ汁を味わうしか無理か・・・。
そういうやりとりも、なんだか楽しい、年の瀬です。